血液中に“4本鎖”の遺伝構造が見つかった?研究の中身と謎

最近、研究チームが「人間の血漿(けっしょう)中から4本鎖を作る特殊な核酸構造(G-quadruplex、通称G4)を直接検出した」と発表しました。場所はヒトの血漿で、普通のセルフリーDNA解析では見逃されがちな“超短鎖”核酸が主な対象だったといいます。血の中にDNAやRNA断片が浮いていること自体は知られていますが、そこに安定した4本鎖構造が存在する、というのはこれまでの見方と違います。

検出は二つの独立法で行われたとされます。ひとつはG4を認識する抗体、もうひとつはG4に結合して光る蛍光性の小分子です。両方の方法で信号が出ており、相互に邪魔し合う実験(競合実験)も行われて「本当にG4に由来する信号らしい」と示唆されています。ただし重要なのは、この段階で「それがDNA由来かRNA由来か」は区別できていない点です。RNAでもG4を作ることが知られており、区別は研究の今後の課題です。

また、この報告は査読前のプレプリントとして公表されています。著者らは診断利用の可能性を示唆していますが、現時点では根拠が限定的で、サンプル数や方法の詳細、第三者による再現が必要です。つまり「血液検査で新しい指標になるかも」と期待はできる一方、確定的ではありません。

奇妙なのは、普通の短い核酸断片の中にこうした複雑な立体構造が存在しうるという事実です。もし今後、DNAかRNAのどちらかが確定し、同じ結果が他研究で再現されれば、血中核酸の読み方や診断バイオマーカーの探し方を変えるかもしれません。現段階では魅力的な発見の予告であり、科学的検証が待たれる段階だと言えます。

上部へスクロール