火の中で分裂する「火のアメーバ」発見か 真核生物の高温限界を塗り替える可能性

アメリカ西部、ラッセン火山国立公園の温泉流路から採取された「Incendiamoeba cascadensis(通称:fire amoeba from the Cascades)」と名付けられた真核アメーバが、これまでの記録を超える高温で増殖・細胞分裂する様子が観察されたと報告されています。研究チームは顕微鏡下で加熱しながら観察し、細胞分裂が最大で63°C(145°F)で起きるのを確認、短時間なら70°C(158°F)近くまで生存できたとしています。これは従来知られていた真核生物の高温限界(おおむね60°C程度)を上回る数字です。研究に関わった人物の一人としてBeryl Rappaportの名が挙げられています。

なぜ普通ではないのか。多細胞や核を持つ生物(真核生物)は高温でたんぱく質や核酸が壊れやすく、細胞の基本的な仕組みが保てなくなるため、60°C前後が上限と考えられてきました。そんな“常識”を超えて細胞分裂を行う個体が自然界に存在したとなれば、生命の耐久性に関する理解が変わる可能性があります。極限環境で生きる微生物を研究する分野や、地球外生命の可能性を考える際にも注目される発見です。

ただし慎重な扱いが必要です。元情報は採取場所、種名、観察温度、研究者名といった具体的な観察結果を示していますが、論文の正式な掲載情報(掲載誌の号・DOIなど)や、同条件での再現実験、試料の系統保存番号などは本文では明示されていません。観察に使った装置の較正や温度プロファイルの詳細、第三者による独立検証も現時点では確認されていない点です。

現段階で確かなことは「ラッセンの温泉由来の新種として報告され、顕微鏡観察で63°Cでの分裂と短時間での70°C近くの生存が観測された」という点までです。それ以上の結論、たとえば『真核生物はこれまでよりもはるかに高温に強い』といった断定は、追加の検証とデータ公開が出そろうまで控えるべきでしょう。とはいえ、自然界が持つ“想像を超えた耐性”を直接示す観察として、非常に異様で興味深い発見であることは間違いありません。

上部へスクロール