インド洋に生息していた絶滅鳥ドードーを“復活”させようという試みが、アメリカの企業Colossal Biosciencesで進んでいます。注目点は、AIを使った比較ゲノミクス(種の遺伝情報を比べる手法)と、生殖細胞や胚への遺伝子操作を組み合わせる点です。普通ではないのは「AIで復活計画の設計まで行う」という点で、技術と生物倫理が交錯しています。
Colossalは新しいAIプラットフォーム『GenoMorph』を用い、ドードーと近縁のニコバールバトなどのゲノムを比較して、くちばしの大きさなど外見に関係する「調節領域」と呼ばれるDNA領域の候補を大量に特定したと報告されています。記事では650以上、広く見ると1,698の関連領域が挙がったとされています。またニコバールバトの飼育コロニーを拡大(約36羽)し、生殖前駆細胞の培養にも成功したとされ、鶏の胚などを利用した遺伝子導入手法の開発も見込まれています。
しかし注意が必要です。今回の多くの成果は「候補の同定」やプレプリント段階の報告に留まり、実際にドードーと同じ姿を持つ個体を作れるかは別問題です。調節領域が本当にその形質を決めるかを確かめるには、実験的な機能検証(動物や細胞での実験)が必要です。さらに、動物福祉、国際的な規制、バイオセーフティ、倫理審査といった非技術面の障壁も大きく、単にゲノム情報を組み合わせただけで“復活”できるわけではありません。
現時点で確かに進んでいるのは、AIを使った候補領域の抽出と近縁種のコロニー拡大、生殖細胞の一部培養の報告です。だが「ドードーが実際に復活する」という結論は早計で、今後は候補領域の機能検証、遺伝子導入の実効性、そして倫理・法的な許認可が焦点になります。技術的には面白く、物語性も強いプロジェクトですが、事実と期待を分けて見る必要があります。
※ アイキャッチ画像は記事内容をもとにAIで生成したイメージです。