米国の研究グループは、頭蓋内に埋め込んだ多数の電極を使い、同一デバイスで「発話(声の内容)」と「身振り(手や腕の動き)」を同時に読み取り、デジタルアバターを同時に動かす実験を報告しました。論文はNature Neuroscienceに掲載されたとされ、実験では皮質表面に配置した計253チャネル(電極)を用いたと伝えられています。
被験者は2人で、いずれも運動や発話に障害があるケースでした。研究は被験者に発話やジェスチャーを試行させながら脳活動を記録し、機械学習で信号を解析してテキスト化と動作推定を行い、アバターに反映しました。報告では同時にデコードするデータを含めることで性能が向上するとし、個人差はあるものの一例は高精度、もう一例は発話で約75%、身振りで約85%の精度だったとしています。
通常、脳–コンピュータインターフェース(BCI)は「手の動き」か「言葉」のどちらか一方を対象にすることが多く、同時に両方を読み取って連動させた点が今回の新しさです。もし確立すれば、話せない人が自分の言葉と身振りを同時に取り戻すツールになる可能性があります。
ただし注意点も多いです。報道元はNature Neuroscience掲載を伝えていますが、一次論文の著者一覧やDOI、倫理審査や被験者同意の詳細は記事内で示されていません。手術や埋め込み電極の長期安全性、実験の被験者数の少なさ(2名)や個人差、アルゴリズムの具体的手法などは公開情報からは不明で、現段階は限定的な“実証実験”の域を出ないと考えるべきです。
この研究が示すのは技術的に非常に先端で同時性の可能性が開かれたことです。ただ、臨床応用や社会的影響(プライバシー、同意、誤認識時の責任など)については議論と追加検証が必要で、現状は「将来の可能性」を示す段階にとどまります。
※ アイキャッチ画像は記事内容をもとにAIで生成したイメージです。