宇宙望遠鏡JWSTが「何も写っていないはずの場所」から、近赤外の一本の強い輝線(波長約1.6マイクロメートル)を検出しました。場所は有名なハッブル超深宇宙フィールド(HUDF)の一角で、同じ線は88日間隔で2回観測されています。観測装置はNIRSpecという分光器で、複数の露光や観測方向を合わせても信号は一貫していました。
普通ではない点は、強い輝線があるにもかかわらず、その位置に対応する恒常的な光源が既存の深宇宙画像(JWSTのJADESやハッブルの観測)には確認できないことです。つまり「光は来ているが出どころが見当たらない」状態です。
研究チームは複数の可能性を検討しています。遠方の銀河から来る赤方偏移した線、短時間で明るくなる超新星や潮汐破壊(ブラックホールが星を引き裂く現象)などが候補ですが、どれも今のデータだけでは決め手に欠けます。単一の強い線だけしか検出されておらず、通常の銀河スペクトルで期待される他の線が見つかっていない点も解釈を難しくしています。
この結果はMason、Hubertyらによる手法(MOCSS)を用いた解析で、査読付きの天体物理学専門誌(The Astrophysical Journal)に報告されています。ただし、論文の詳細(掲載号やデータ図、S/N比の具体値)や第三者による独立確認はまだ公開されておらず、追加の追跡観測が必要とされています。
現時点で確かなのは「JWSTの分光観測で異常な一本線が繰り返し検出された」という事実だけです。なぜそのような光が空のように見える位置から来るのか――原因は未解決で、多くの仮説が残っています。今後の深い観測や別の装置による再現が、謎を解く鍵となりそうです。
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