第二次大戦中のドイツで行われたとされる“原子炉実験”が、実物の試料分析で改めて検証されました。舞台はハイガーロッホ(Haigerloch)。そこから出土したウランキューブ2個を最新の手法で調べた研究が、PNAS Nexusに報告されています。研究は「ハイゼンベルクらが“臨界に近かった”という主張を疑う材料がある」と結論づけています。
何が普通ではないかというと、今回の検証は紙の記録や証言ではなく、実際のウラン塊という物的証拠を直接分析した点です。分析結果と当時の生産能力や資源量(重水や高純度グラファイト=原子炉の中性子を減らさないために必要な炭素材料)を突き合わせたところ、臨界を得るには当時のドイツが用意できる量を大きく超える資源が必要だったと示されました。
研究が指摘する具体的要素は二つです。まず、臨界を起こすには大量の重水(重い水)か極めて純度の高いグラファイトが必要で、どちらも当時の生産実績では不足していた点。次に、現存するウランキューブの状態や組成からは、実験が臨界寸前まで到達した証拠は見えにくいという点です。
とはいえ、すべてが確定したわけではありません。学術論文の図表やシミュレーション条件、重水やグラファイトの正確な必要量と当時の供給数値など、技術的な細部は論文本文での確認が必要です。また、写真などの出典や図版使用権にも注意が必要だと専門家らは指摘しています。
結論として、この研究は「ナチスはもう少しで原爆を完成させそうだった」という通説を数値で再評価し、当時の物資と技術では臨界到達は現実的でなかった可能性を示しました。物的証拠を用いた新しい角度の検証が、歴史の“近さ”を見直すきっかけになっていますが、細部の技術的検証は今後の研究に委ねられます。
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