7万5000年前の“狙い撃ち”?ネアンデルタールの肩甲骨に残る小さな貫通孔の謎

イラク北部のシャニダール洞窟で見つかったネアンデルタール(通称Shanidar A)の左肩甲骨に、直径約1.5cmのきれいな円形の穴があることが最新の研究で報告されました。骨の損傷は死後の齧り痕や自然破壊ではなく、死に近い時期(周死期)の刺創と判断されています。

穴の形と周辺の骨片の欠損を調べた研究者たちは、前方から高速で刺さった木製の槍か突き槍が肩甲骨を貫通した可能性を指摘しています。刺入方向や力のかかり方から、槍は胸の方向へ進み心臓を狙うような角度だった可能性があり、研究では“キルショット(致命的な一撃)”の可能性も議論されています。

ただし重要なのは、研究が示すのは「可能性」であり、確定的な事件の場面や加害者の意図を証明できるわけではない点です。発掘時の詳しい状況や、実験で用いられた木製槍の具体的な比較データ、論文の詳細(著者リストや日付など)は本文では示されていません。つまり骨の傷そのものは科学的に周死期の刺創と評価できても、「誰に」「どのように」行われたかは分からないままです。

奇妙で興味を引くのは、約7万5000年前の人たちが近距離で致命的な突き刺しを行った可能性があることです。これが狩りの失敗なのか、集団間の争いなのか、個人的な暴力なのかは現在の証拠だけでは判断できません。研究はScientific Reportsに掲載されており、骨の形状や損傷の除外プロセスなどは専門家による分析に基づいていますが、場面の想像には慎重さが必要です。

結局、この小さな穴は遠い過去の一瞬を示す手がかりであり、古代の人間関係や武器使用をめぐる大きな問いを投げかけています。追加のデータや詳細な実験比較が出れば、どこまで「意図的なキルショット」といえるかがより明らかになるでしょう。

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