「健康食品」に潜む化学物質 植物のオキサレートが腸炎を悪化させる可能性

アメリカの研究チームが、ほうれん草やナッツ類など“健康食品”に多く含まれる天然物質・オキサレートが、一部の炎症性腸疾患(IBD)患者の腸内で蓄積し、炎症を助長する可能性を示しました。オキサレートは植物に広くある化合物で、通常は腸で吸収されたり便と一緒に排出されたりします。だが研究では、IBD患者では便中のオキサレート量が健康な人と同じ摂取量でも高く、オキサレートを運び出すはたらきを担う遺伝子(SLC26A2/3/6など)の発現が低下している組織も確認されたと報告されています。

研究はヒトの糞便測定、遺伝子発現解析、マウス実験、試験管内での免疫細胞反応の観察を組み合わせたもので、マウスでは高オキサレート食により体重減少や腸炎の持続、生存率低下など悪化指標が出ました。また、免疫細胞に対してオキサレートが炎症反応を強めるデータも示されています。

ただし、この研究は参加者数や実験条件に限界があり、すべてのIBD患者に当てはまるとは断定できません。現時点で「オキサレートを避けよ」といった臨床的な指針が出る段階ではなく、追加研究が必要です。今後は、患者個々の腸内環境や遺伝的背景を踏まえた追試や臨床研究が求められます。健康食品=安全とは限らない、という点で考えさせられる報告です。

上部へスクロール