900年前に北米東部で“カカオ”の痕跡?ジョージア州の土器から古代DNA検出

アメリカ南東部、ジョージア州のエトワー(Etowah)遺跡で発見された11〜12世紀の陶器片から、チョコレートの原料であるカカオ(Theobroma cacao)に由来する古代DNA断片が検出されたと報告されました。もし確かなら、約900年前にカカオが現在のジョージア周辺まで届いていた可能性を示す初の古代DNAによる直接証拠です。

普通ではない点は、カカオが育つのは熱帯地域であり、ジョージア州では自然分布していないことです。北米東部での発見は、トウモロコシや豆とは違う「長距離交換ネットワーク」や、トレード品・儀礼品としての移動を考えさせます。

研究では土器の表面などを対象に古代DNA解析を行い、2点の土器サンプルからカカオ特異的な断片が検出されました。検出断片の平均長は約84塩基対で、古いDNAに特有の変性パターンも見られたとされています。研究は学術誌PLOS Oneに掲載されたと報告されています。

ただし重要な限界もあります。陽性になった標本は全体で極めて少数であり(2点のみ)、採取した全サンプル数や陽性率の詳細は論文原本の確認が必要です。また、DNA断片の由来が「持ち込まれた食材か、儀礼で用いられた残りか、あるいは後世の混入か」は現段階で明確ではありません。

現時点で確実に言えるのは、「エトワーの土器からカカオ由来とみられる古代DNAが検出された」という点です。発見は北米先住民社会の交易や儀礼を見直すきっかけになりますが、出所の特定や再現性の確認には追加データと独立した専門家の検討が必要です。日本ではカカオ=熱帯作物という常識が強いため、900年前の北米で痕跡が見つかったという事実は多くの人にとって驚きでしょう。

上部へスクロール