白化したサンゴが“接触1週間”で色を取り戻した?ラボで見つかった不可解な回復法

太平洋のサンゴ研究で、驚くべき観察が報告されました。スタンフォードの研究チームは、同じコロニー由来の「健全なサンゴ片」を白化(体内の共生藻が失われ色が抜けた状態)した断片に直接触れさせると、組織同士が融合して共生藻や栄養が移り、わずか1週間で回復の兆しが出ると発見しました。最大で7週間ほどで色が戻ったといいます。これはラボ内での実験観察で、Science Advancesに載った研究をScienceAlertが報じています。

普通ではない点は、白化回復が“短期間の物理的接触”だけで始まるという点です。通常、白化したサンゴが自然に元に戻るには水温や光、周囲の藻類など複数条件が必要で、数カ月かかる場合もあります。今回の結果は、組織融合による直接的な共生藻移転という機構を示唆しますが、重要な制約もあります。実験は同一コロニーの断片を用いたラボ条件で行われ、少しの隙間があるだけでは移転が起きないことや、接触が必須だったことが確認されています。

未解決の点も多いです。異なる個体同士で同じ現象が起きるか、自然の礁で同様の融合と移転が起きるかはまだ分かっていません。移された共生藻の種類や長期的な生存率、現場でスケールさせる実用性についても証明されていません。つまり「ラボで確かめられた奇妙な現象」までは示されましたが、海にそのまま当てはめられるかは未検証です。

この観察が注目されるのは、白化によるサンゴ減少という深刻な問題に対して、全く別の回復メカニズムの可能性を示した点です。一方で、現地での再現性や安全性など、実用化に向けたハードルは高く、まずは異個体や野外での追加検証が必要だと研究者らも示唆しています。

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