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アメリカの研究チームが太平洋のEscanaba Trough(エスカナバ海底溝)で採取した深海鉱石の一部が、実験室での処理中に自己加熱して発火したと報告されました。普通は冷たい海底で採れた石が、酸素に触れて突然100℃以上に達し火を吹くという異様な出来事です。
問題になったのは57試料のうち2試料。研究者は試料を凍結乾燥して粉砕する過程で、該当試料が急激に温度上昇を示し、一部は可燃物に引火するほどの発火を記録しました。原因として指摘されているのは「ナノ結晶マーカサイト」と呼ばれる微細な鉄硫化物で、酸素と反応すると発熱する性質を持つ可能性があるということです。
なぜ普通ではないのか。深海の硫化鉱は高圧・無酸素の環境で安定しているものが多く、採取して陸上の空気にさらすと化学的に変化しやすい点が見落とされがちです。研究はScientific Reportsに要旨が出ており、USGS(アメリカ地質調査所)も深海採掘のリスクとして警告を出しています。
ただし、いくつかの重要な点はまだ不明です。発火が他の試料でも再現可能か、船上での採取直後に同様の危険があるのか、実験の細かな手順や被害の有無など、公開されている情報は限定的です。そのため「深海鉱石は全部危険」と結論づけることはできません。
今回の報告が示すのは、深海採掘や鉱石の取り扱いに関して、従来の想定よりも化学的な危険が潜んでいるかもしれないという点です。採取・輸送・分析の各段階で、空気や温度変化に伴う化学反応を想定した安全対策の見直しが求められそうです。
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