オーストラリア南部とタスマニアにいた絶滅哺乳類、タスマニアンタイガー(シラマ)の“食べ方”に関する新しい研究が話題です。フリンダース大学とメルボルン大学の研究チームは、保存標本の頭骨形状を詳しく解析し、この動物が大型の家畜を押さえつけて噛み砕く力を持つ大型捕食者ではなかった可能性を示しました。
普通ではない点は、長らく語られてきた「羊を襲って家畜被害を出したから過剰駆除された」という図式を解きほぐす証拠が出てきたことです。研究者たちは吻(口先)が細長く、頭蓋の噛み合わせが素早い“噛み付き”に適していると判断しました。これは大きな力で押さえつける咬合より、小さな獲物を素早く噛んで仕留めるスタイルに合致します。
背景には、19〜20世紀の欧州入植者の観察や通説があります。入植者の記録は家畜被害を重視しており、それが駆除政策を正当化する材料になった可能性があります。しかし今回の形態学的解析は、その描かれ方を単純化し過ぎていたことを示唆します。
ただし注意も必要です。元記事には研究が学術誌に掲載されたとあるものの、掲載誌名の表記に矛盾が見られます。標本数や比較対象、解析手法の詳細は原論文で確認する必要があり、ここまでの議論は形態解析の結果に基づく「可能性の提示」と理解してください。
日本の読者が驚く点は、「絶滅の理由が単純な害獣扱いだけとは限らない」という歴史認識のズレです。動物の見た目や一部の記録だけで性質を決めつけると、保存や政策の判断を誤る──この教訓は現代の絶滅危惧種保護にも当てはまります。今回の研究は、タスマニアンタイガー像を見直すきっかけになり得ますが、最終的な結論は原論文の詳細を踏まえて判断すべきです。
※ アイキャッチ画像は記事内容をもとにAIで生成したイメージです。