ドイツ・ゲッティンゲン大学などの研究チームが、博物館に眠っていた標本と新採集の個体を再調査し、「枝分かれする」体をもつ海洋環形動物(いわゆる“branching worms”)が従来報告の3種から合計13の形態に増えていると報告しました。研究は学術誌Zoological Journal of the Linnean Societyに掲載されています。
これらの生き物は、普通のミミズのようにまっすぐな体ではなく、単一の頭部から枝分かれして何本もの体節が伸びる、植物のような外見をします。多くは海綿(スポンジ)の内部で暮らし、浅海から深海(1000メートル超)まで広い深度で確認されています。今回の解析は博物館標本の形態観察に加え、DNA解析とmicro-CT(微細な三次元X線撮影)など最新手法を組み合わせたものです。
結果として13の「形態群」が確認され、そのうち少なくとも約10がこれまで知られていない新種候補と判断されました。分布はインド太平洋、紅海、ニュージーランド周辺などにまたがり、特定の海綿に依存する共生的・寄生的な生活様式が示唆されています。
ただし、研究側でも未解明の点は残っています。論文の図版使用許諾や個別標本の採集年・採集地など一次データの一部は外部に完全公開されておらず、正式な学名リストや新属Cladosyllisの記載要旨についての細部確認も必要です。つまり「見た目の奇妙さ」と「DNAで裏付けられた多様性」は確かですが、学名や標本ごとの由来まで細かく追うには、さらに公開資料の検証が求められます。
日本の読者にとって特に驚きなのは、「博物館に何十年も保存されていた標本が、最新の解析法で“新種の宝庫”に見えること」です。博物館は過去の採集物を保存するだけでなく、技術の進歩で新しい発見につながることがある——という科学の面白さが、この研究から伝わってきます。
※ アイキャッチ画像は記事内容をもとにAIで生成したイメージです。