月面に出現した「広域コールドスポット」──新しいクレーターを囲む不可解な冷え

2024年春ごろにできたとされる、直径約222メートルの新しい月面クレーター(McGetchin)を中心に、直径約7キロにわたって夜間に周囲より数ケルビン低温の領域が観測されました。米国の人工衛星LRO(ルナー・リコネサンス・オーブライター)が撮った画像と、Divinerと呼ばれる放射計の温度データを使った研究チームが報告しています。

普通ならクレーターの冷却影響は本体近くに限られるはずですが、この“コールドスポット”はクレーター本体よりはるかに広がっている点が異様です。研究を主導したジョンズ・ホプキンス応用物理研究所らは、表面の砂のような「レゴリス」が衝撃で膨らんで緩む(decompaction)ことで、熱を溜めにくくなり夜間に冷えやすくなる可能性を示しています。

この仮説は熱慣性(表面が熱を蓄える性質)が変化したためという説明で、観測データと整合する点はありますが、メカニズムが確定したわけではありません。論文はScience Advancesに掲載されたと報じられていますが、論文本文の細部や温度マップの原データ、クレーター命名の正式出典といった点は公開・確認が進められている段階です。

注目すべきは、月面で新しい衝突がただ穴を作るだけでなく、数キロ規模で地表物理特性を変え得るらしい――という事実です。何が起きているかはまだ完全には分かっておらず、今後の追加観測や公開データの精査が鍵になります。

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