オーストリアのウィーン大学チームが、タコやイカなど「コレオイド頭足類(こうそくるい)」のゲノムで、数億年前に三次元的な大きな再編が起きた可能性を報告しました。染色体の折りたたみ方やループ構造が変わり、遺伝子どうしの“近さ”ややり取りが大きく作り替えられたというのが研究の要旨です。
普通ではない点は、今回注目されたのが「DNAの配列そのもの」ではなく、ゲノムが空間的にどう配置されるかという“3D構造”だということです。遺伝子が近づくことで新しい制御ネットワークが生まれ、特に神経発達に関わる領域で新しい相互作用が増えた可能性が示されています。
背景には、タコの脳や神経系が軟体動物としては非常に発達している事実があります。研究チームは比較ゲノムや3Dゲノムマップを用いて、コレオイド頭足類に特徴的な再編パターンを検出したと述べています。ただし、重要なのは「因果関係」が確定しているわけではない点です。論文はNature Communicationsに掲載されていますが、行動や知能そのものへの直接的な結びつきは仮説として提示されており、追加の実験や検証が必要とされています。
確認されている事実は、ウィーン大学チームによる解析が発表され、染色体ループなどの小スケール構造変化と遺伝子制御の再配列が観察されたことです。一方で、どの程度それが「知能の進化」を引き起こしたかは現時点で未解明です。
この研究が面白いのは、“遺伝子の中身”だけでなく、それが三次元的にどう組み合わさるかが進化の重要な鍵になり得る、と示した点です。タコの賢さを説明する一つの道筋としては説得力がありますが、結論とするにはまだ慎重さが必要です。
※ アイキャッチ画像は記事内容をもとにAIで生成したイメージです。