長年沈黙していた若いパルサーが突然“三度の異変”を起こした謎

オーストラリアのパークス(Murriyang)望遠鏡の観測から、若いパルサーPSR J1637−4642が2018年を境に三度の「グリッチ」(回転速度の急変)を起こしていたことが報告されました。パルサーは高速で回転する中性子星で、規則正しい電波パルスを放つのが普通ですが、この個体は長年ほとんど沈黙していた点がまず普通ではありません。

最も大きな変化は2018年に観測され、回転周波数が約17.54マイクロヘルツ(μHz)だけ一気に増えました。相対変化に直すと約2.7×10^-6で、天文的には小さな値ですが、パルサーの内部構造の突然の変化を示すには十分な大きさです。さらに、その後約3年ごとに二回の小さなグリッチが続き、最大事象では100日以上にわたる「緩和」—回転が元に戻ろうとする過程—も記録されました。

なぜ普通ではないのか。多くのパルサーは長期間安定して回るか、単発のグリッチを起こすことはあるものの、長年沈黙していた若い個体が突然再活動し、しかも短期間に複数回のグリッチを見せる例は珍しいのです。研究チームはパルサー内部の超流動(摩擦のない流れをする中性子の流体)と外側の「地殻」との相互作用が原因の一つと考えています。超流動内部の角運動量が外側へ急に移ると、回転が速くなる現象が理論上説明されます。

ただし原因は未確定です。論文はarXivに投稿され、Astrophysical Journal Lettersに受理されていますが、エキゾチック物質(通常の物質とは異なる未知の物質)の存在を直接示す証拠と断言するには至っていません。観測データ(周波数時系列や時刻残差の図)や論文の細部は専門誌にあり、詳細な解釈は慎重を要します。

この事例の面白さは、「見えない内部」が短期間に繰り返し変化した痕跡が残っている点です。天文学者たちは今回のデータを使って、 neutron-star の内部物理や超流動の振る舞いをさらに詳しく探ろうとしていますが、現時点では複数の仮説が並び、結論にはもう少し証拠が必要です。観測が続けば、この“再活動”が持つ意味がよりはっきりするかもしれません。

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