非喫煙者で肺がんリスクが劇的に上がる、稀な遺伝子変異とは

米国を中心とした研究で、「T790M」と呼ばれるごく稀な遺伝子変異が、喫煙歴のない人の肺がんリスクを大きく高める可能性が報告されました。解析は23andMeなどの同意を得た遺伝子データを含む約330万人超を用い、T790M保有の非喫煙者は保有しない非喫煙者に比べ約62倍の発症リスクが示されたと伝えられています。

T790MはEGFRという遺伝子の変異で、がん治療薬の耐性と関係することで知られますが、今回の点は「常染色体優性」として遺伝するとされ、保有者は家族内で代々持ちうる点が普通と違います。一方で、この変異自体は極めて稀で、集団頻度は約1/15,850と報告されており、全人口に対する寄与は限定的です。

研究では641例の肺がん例が解析に使われ、一部の地域(米国南東部)で比率が高い傾向が示唆されました。臨床的には「非喫煙者の説明できない肺がん」を理解する手掛かりとなり得るため、遺伝子検査やスクリーニングの議論に影響する可能性があります。

ただし注意点もあります。今回の報告は大規模データ解析に基づくものの、非欧米集団(例:アジアや日本)で同様の頻度やリスクが再現されるか、解析の統計的細部、論文の正式な引用情報などは別途確認が必要です。変異が稀であることから、公衆衛生上の影響は限られる一方、個々人にとっては重大な意味を持ちうる――そんな矛盾がこの話を奇妙にしています。

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