土星・南極で「十角形」が出現?奇妙な大気波の正体に迫る

土星の南極付近で、まるで十角形のように見える大気の波(デカゴン)が観測されました。観測はアマチュアの画像を起点に遡及調査され、ハッブルなどの望遠鏡データで2024〜2025年ごろに明瞭化したと報告されています。地球ではまず見ない、幾何学的に整った大気構造という点で非常に珍しい現象です。

普通でない理由は二つあります。ひとつは形がはっきり「多角形」になっていること。土星北極に知られる六角形は有名ですが、南極で十角形に相当する構造が確認されたのは新しい発見です。もうひとつは、その位置と運動です。デカゴンは南緯約60度にあり、周囲の東向きジェット(強い水平風)に乗って回転していると推定されています。

研究チームのリーダーはバスク大学のAgustín Sánchez-Lavega氏で、成果は学術誌Science Advancesに発表されました。論文では、近くに直径約4,000kmの高圧渦(通称“Red Spot”に類する渦)があり、これが多角形の発生に関係している可能性を示す仮説が提示されています。しかし、数値シミュレーションではまだ完全に再現できておらず、成因は未解明です。

確認されている事実は「十角形に相当する大気波が観測されたこと」「出現の追跡は2023年頃にさかのぼれること」「位置が南緯約60度で東向きジェットに乗っていると推定されていること」です。一方で、論文の本文や観測画像の詳細(使用望遠鏡、波長帯、日時など)や図版の使用許諾については外部での追加確認が必要です。

日本の読者にとって面白い点は、同じ惑星で北極に六角形、南極に十角形という“左右で違う多角形”が存在する可能性があることです。地球の気象とは仕組みやスケールが大きく異なり、気体の流れが作る幾何学的パターンが実際の観測で確かめられるというのは直感に反します。今回の発見は「どうしてその形になるのか」という純粋な謎を残しており、将来の観測と数値実験で解明が期待されますが、現段階では成因を断定するには至っていません。

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