肺移植で“ピーナッツアレルギーが移った”?稀な実例を追う

カナダで報告された症例です。間質性肺疾患で肺移植を受けた47歳の女性が、術後に食事で重いアレルギー反応(アナフィラキシー様症状)を繰り返しました。精査の結果、皮膚プリックテストでピーナッツと松の実に陽性が出ました。

普通ではない点は「受けた人が新たにアレルギーを持つようになった」ことです。移植医は、移植された肺に残っていた免疫細胞(食物アレルギーを引き起こす“記憶”を持つ可能性がある)によって感作が移った可能性を指摘しています。提供者はピーナッツアレルギーを持つ12歳の男児だったと報告されています。

一方で血液中のピーナッツ特異的な抗体は検出されなかった点が記録されています。興味深いことに、患者の症状や検査は約1年で消失したとされ、永続的なアレルギーとは限らないことも示唆されます。

こうした“アレルギー移転”の報告は極めてまれで、過去に似た例が少数あるだけです。因果関係を確定するには限界があり、提供者のアレルギー履歴の把握方法や移植後の免疫の詳しい挙動など、まだ分かっていない点が残ります。

今回の話が注目されるのは、臓器提供と受容の際に「アレルギー」という情報がどこまで重要かを問い直す点です。日本では臓器提供の同意や個人情報保護の扱いが異なるため、提供者の既往がどこまで共有されるかは制度面での違いもあります。

結論として、今回の症例は「可能性」を示す興味深い報告ですが、移植で必ずアレルギーが移るという証拠ではありません。医療現場では提供者のアレルギー歴を含めた情報の扱いを慎重に検討する必要がある、と慎重に論じられています。

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