地球の“形”が同時に矛盾する変化を遂げている?重力形と地盤が逆に動く謎

最近の研究は、地球の「外側の形」と「重力の形」が同時に、しかも逆向きに変わっている可能性を示しています。研究はJournal of Geophysical Research: Solid Earthで紹介され、ScienceAlertが2026年9月に報じました。ギリシャの研究者Christopher Kotsakisらが、1997年から2015年のGNSS(全地球測位システム)観測を解析したというものです。

具体的には、北極や南極付近の地盤が年に約0.5ミリから2015年には約1ミリへと上昇速度を増している一方、赤道付近では地盤の沈降が進んでいると報告されました。通常「地球の形」と一言で言っても、固体の地表の形と重力場が作る“ジオイド”(重力に基づく理想的な海面の形)は別物です。今回の観測では、地盤の変形は「より丸く」なる方向に進む一方で、ジオイドは逆に「より扁平化」する傾向を示しているとされます。

研究者らが示す説明は、氷床融解による質量の再配分です。極域にあった氷が溶けて海へ流れると、質量中心が低緯度側へ移動します。質量が移動すると重力場(ジオイド)が変わり、同時に氷がなくなった極域の地殻は弾性的に持ち上がる――この二つが同時に起きるため、「地表の形」と「重力の形」が逆向きに変化しているように見える、というわけです。

ただし、ここまでの説明には慎重さも必要です。論文自体は査読誌に出ていますが、観測網の地理的偏りや解析の不確実性(誤差幅やモデル感度)の詳細はこの記事では示されていません。ジオイド変化と地殻変動をどの程度定量的に結び付けられるか、他の独立した解析と整合するかといった点は、原論文の詳細検討が必要です。

それでも直感的に奇妙なのは、目に見える“地形の変化”と、重力で決まる“地球の丸さ”が同時に別方向へ動くという事実です。気候変動が遠く離れた場所の地殻や重力場にさえ影響を与えるという点が、現代地球の複雑さを改めて示しています。今後は他時期や別データでの再検証が期待されますが、現時点での観測は「地球は一方向にしか変わらない」という単純なイメージを覆す材料になっています。

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